まつられた2匹の猫
2月22日の「猫の日」、島津家別邸として築かれた、桜島を望む「仙巌園(せんがんえん)」(鹿児島市)には今年も、朝から約50人の愛猫家が集まってきた。それぞれの飼い猫が愛用する首輪やおもちゃなどを携えている。
午前11時、園内の高台に位置する小さな祠(ほこら)の前に参列者がそろう。隣接する鶴嶺(つるがね)神社の権禰宜(ごんねぎ)、山下裕二さん(69)が斎主となって「愛猫長寿祈願祭」が始まった。立派な鯛(たい)が供えられた祭壇に、飼い主らが次々と玉串を捧げていく。
2回目の参列という女性(58)は5歳の元保護猫を飼っていて、「少しでも長く一緒にいてくれるように祈った」と言い、3匹の飼い猫の健康を願った女性(48)は「目に傷のある子が1匹いて、はやく良くなってほしい」と話した。
祠は「猫神社(ねこがみしゃ)」と呼ばれている。まつられているのはある2匹の猫だ。話は安土桃山時代末期にさかのぼる。尚古集成館(しょうこしゅうせいかん)学芸員の小平田(こひらた)史穂さん(39)はこう話す。「島津家17代当主の義弘が文禄・慶長の役(1592~98年)の際、朝鮮に7匹の猫を連れて行ったそうです。そのうち無事に帰国した2匹がここにまつられています」
「猫友」から戦国武将への手紙
島津義弘といえば、関ケ原の…